「地縛少年花子くん」で、生前の花子くんこと柚木普(ゆぎ あまね)が弟の司(つかさ)を殺してしまった理由はまだ明らかになっていません。
そこで今回は、2022年10月時点で発売されている単行本18巻までを参考に、普が司を殺した理由について考察してみました。
そして単行本を読み進めていると、エソラゴト編で気になる場面があったので一緒に考えていきたいと思います。
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柚木あまねが音読しているのは「高瀬舟」
七不思議の4番目「シジマさん」が描く絵の世界、そこに閉じ込められる「エソラゴト〜夢の終わり」は、なんと単行本9〜12巻に渡って続く長いセクションです。
エソラゴトの世界では、花子くんは柚木あまねとして八尋寧々の同級生として存在しています。
エソラゴト編、青春してるぜ〜!って感じが良き!
いつもの花子くんとは違う世界観で、とても魅力的ですよね。
そこで気になったのが、現代文の授業で柚木あまねが音読している場面です。
其日は暮方から風がやんで、空一面を覆った薄い雲が月の輪郭をかすませ、やうやう近寄ってくる夏の温かさがー
思わず見落としてしまいそうなのですが、実はこれ、森鴎外の短編小説「高瀬舟」の一節なんですよ。
高瀬舟は兄が弟を殺した罪で流刑になる話
あまねが音読していた「高瀬舟」。
高瀬舟は江戸時代、おもに京都で流刑になった時、罪人が乗せられる船の名前です。
小説「高瀬舟」では、罪人の喜助と護送役の庄兵衛のやりとりから始まります。
あらすじを大まかに紹介すると、こんな感じです。
- 喜助は弟と2人で助け合って暮らしていた
- 弟が病気になり働けなくなってしまった
- 弟は兄をラクにしてあげたいと自害するも失敗
- 喜助は弟から「刺さった刃物を抜いてほしい」と言われる
- 喜助が刃物を抜くと弟は死んでしまった
- 目撃者は喜助が弟を殺したと通報。喜助は捕まり流刑になる
はたして、弟を助けるために殺した事は罪になるのだろうか?という話です。
いかがでしょうか。
私の中では双子の兄あまねが、弟つかさを包丁で刺して殺してしまったという情景とリンクしてしまいます。
あまねが殺したのは偽物のツカサ?
生前の花子くんこと柚木普(あまね)は、双子の弟である司(つかさ)を包丁で刺して殺してしまいました。
しかし、殺されたツカサは本物の司ではありません。
4才の時につかさは「ナニカ」と入れ替わった
4才の誕生日を迎える前、医者から「あまねは循環機能が弱いため長くは生きられない」と言われていました。
それを知った司は、家の下にいてお願いを叶えてくれる「ナニカ」に、あまねが元気になるようにお願いをします。
一方、あまねが元気になった代償に、つかさは黒い「ナニカ」の元に取り込まれてしまいます。
ツカサの願いを叶えると代償(生き物)が伴っているので、黒い「ナニカ」は先代の花子さんなのかもしれません。
つかさは神隠しにあったとされますが、それから約半年後、再びひょっこり現れます。
しかし、母親は「あれは私の子じゃない」と気づいてしまうんです。
神隠しから戻ってきたツカサは真っ黒な瞳で、口にはキバらしきものが生えている…!
母親と同様に、あまねも年月を重ねてから「ツカサが本物じゃない」ことに気づいてしまったのではないでしょうか。
母親の気持ちを考えると、4才の子が「わが子じゃない」と気づいてから一家心中をするまでの約9年間…とても複雑な心境で、ずっと恐怖を抱きながら過ごしていたのかもしれません。
わが子じゃない、だけど憑かれていない
母親はツカサを連れて渚神社に行き、助けを請います。
しかし霊や怪異が見える関係者から見ても、司がなにかに憑かれている気配はなかったそうです。
もしかすると、憑かれているのではなく呪われているのかもしれませんね。
司が本物で無くなったことをきっかけに、幸せだった柚木家はジワジワと不幸になっていったのではないでしょうか。
あまねがツカサを殺した理由(予想)
単行本18巻をすぎても、あまねがツカサを殺した理由や背景は明らかになっていません。
ここはあくまで予想であることを了承していただきたいのですが、
- ツカサが両親を殺した
- あまねがツカサの暴走を止めるために殺した
司の事が大好きな普が、司を殺してしまう状況を想像してみたのですが…おそらく「止めに入った」のではないでしょうか。
一家心中で家族4人が亡くなったという事なので、司と普が死んだのと同時に、両親も亡くなっていることになります。
もしかすると、あまねは両親を殺したツカサを止めに入り、誤まって殺してしまったのかもしれません。
いずれにしても、4歳の誕生日ではあんなに幸せそうだった家族が一家心中をするという結末は、とても悲しいですね…。
高瀬舟と花子くんの伏線になりそう
高瀬舟の一文を花子くんが音読している事は、花子くんが弟である司を殺した理由と重なるからかもしれません。
2022年の時点では単行本18巻を超えた花子くんですが、いまだに司を殺してしまった時の状況が明らかになっていません。
怪異となった司の正体や、花子くんとヤシロの関係についても謎は深まるばかりです。
むしろ、謎をおおく残すことによって、読者に考察する楽しさを与えてくれているのではないでしょうか。
「地縛少年花子くん」については、私も考察していきたい内容がたくさんあるので、一緒に楽しんでいきましょう!
あなたの考察があれば、気軽にコメントしてください!